ダウンジャケットを着たダルマ - Marvelous Designerを使ったユーモラスな視覚表現の作り方
3DCGアーティストの堀江雅也 / horimon氏は、Marvelous Designer・CINEMA 4D・V-Rayを軸に、ファッションと映像表現を融合した作品を手がけています。その一例として、日本の縁起物「だるま」の丸みを帯びた形状に、ダウンジャケットを着せるというユーモラスかつ大胆なアイデアに挑みました。
3Dペン(アバター)機能を活用したパターン制作フローから、ダウン特有の膨らみを再現する工夫、リアルなキルティング表現の秘訣まで、制作の舞台裏を詳しく語っていただきます。

まずはじめに、コミュニティに向けて自己紹介をお願いします。
はじめまして、堀江 雅也と申します。
3DCGを軸に、ファッション X 映像表現を中心に制作しています。
主な使用ツールは、CINEMA 4D、V-Ray、Substance、Marvelous Designerです。
Xでは、制作過程における設計意図や工夫についても発信しています。
コンセプトについて
伝統的なだるまにダウンジャケットを着せるというアイデアは、どのような瞬間に生まれたのでしょうか?
このユーモラスで視覚的にインパクトのあるコンセプトに至った経緯を教えてください。
年始の制作テーマとして、日本の縁起物である「ダルマ」をモチーフに作品を制作しました。
忍耐や目標達成を象徴するダルマの意味性を尊重しつつ、意外性やユーモア、視覚的な新鮮さを備えた表現を目指しています。
当初は革素材による表現も検討しましたが、既存のイメージにとらわれない新しい解釈を模索する中で、あえてダウンジャケットを着せるという発想に至りました。
伝統的なモチーフと現代的なファッションアイテムを融合させることで、親しみやすさと同時に、視覚的な違和感や面白さを生み出すことを意図しています。
縁起物としての象徴性を保ちながら、現代的な視点で再構築した作品として提示できればと考え、制作しました。

ワークフローについて:今回の制作パイプラインで使用したツールについて、簡単に概要を教えていただけますか?
本作品では、まずCINEMA 4Dにてダルマ本体のモデリングを行い、その後 Marvelous Designer を使用してダウンジャケットを制作しました。
ダルマと衣服を組み合わせた後、CINEMA 4D上で V-Ray を用いてライティング、マテリアル設定、レンダリングを行っています。
各工程において形状と質感のバランスを細かく調整し、立体感や素材感が視覚的に明確に伝わる表現を意識しました。
伝統的なモチーフと現代的な素材表現が自然に調和することを目標に、全体の完成度を高めています。
丸い球体の形状に対してパターンを作成する際、特有の苦労はありましたか?
生地が自然にだるまを「包み込んでいる」ように見せるために、どのような工夫をされましたか?
ダルマの形状は全体的に丸みを帯びているため、その形状に合わせて通常の方法でパターンを作成することは難しく、別の制作アプローチを検討しました。
そこで、Marvelous Designerの3Dペン(アバター)機能を使用することで、ダウンジャケットの下地となるパターンを直感的に作成できると考え、この方法を採用しています。
この機能を使用することで、モデリング形状に直接ラインを描きながらパターンを作成でき、形状を確認しつつ効率的かつ直感的に作業を進めることが可能となりました。
生地がダルマを包み込んでいるように見せるため、表生地のパターンは下地よりもやや大きく設定し、圧力を調整することで、ダウンジャケット特有の膨らみを表現しています。
●制作フロー

●3DCGツールで、ダルマの形状をモデリングします。
生地が入るため、少し地面から浮かします。

●Marvelous DesignerにダルマのFBXデータを読み込み、【3Dペン(アバター)】で形状をなぞりながら半分のみパターンを作成します。
その際、ダウンジャケットのキルティングを意識してラインを作成します。

●ラインを引き終えた後、パターン化を行います。その後、作成したパターンを2D画面で調整します。

●パターンの形状を調整し、【左右反転貼り付け】でもう片方のパターンも作成します。

その後に、ダルマに着せていきます。
●底に当たる丸い生地は、「フリーズ」しておきます。

●下地を着せたダルマに、顔や文字を「内部線」で作成します。粒子間隔は10mmで設定しています。
また、ダルマの形状に生地が密着するよう、圧力を「-10」に設定します。
最終的なデザインを意識しながら内部線を配置し、形状と意匠のバランスを調整しています。

●下地をコピーし表生地を作成します。 サイズは115~120%大きくします。
下地・表地の生地サイズを調整することで、ダウンの膨らみを表現します。

●「福」の文字やお腹の縦のラインは表地から更にコピーします。
コピーした生地も115〜120%程度に大きくします。

●すべての生地を縫い合わせ、表生地の圧力を「+10」に設定。
そうする事で、ダウンの膨らみを表現する事ができます。
縫い目によるシワや、空気を含んだ生地の膨らみを意識して調整します。

●最後に、パッカリングを必要な箇所に設定します。 表生地の粒子感覚は「2mm」

●最終レンダリング画像 CINEMA4D Vray

●最終レンダリング画像

深みのあるリアルなキルティングの縫い目はどのように表現したのでしょうか?
だるまが単に「ぶかぶか」に見えるのではなく、しっかりと「膨らんで」見えるように、テンション(張力)のバランスをどう調整しましたか?
キルティング部分には、ノーマルマップを用いたパッカリング処理を施しています。
生地の粒子間隔を細かく設定することで、シミュレーション段階においても縫い目が自然に形成され、結果としてリアルなキルティング表現を実現しました。
ダウンジャケット特有の膨らみを表現するため、生地サイズと圧力を段階的に調整しています。
まず下地となる生地は、ダルマの形状よりもやや小さく設定し、圧力を −10 にすることで、本体にフィットした状態を作成しました。
その上で、表生地は下地よりも大きく設定し、圧力を +10 に調整することで、ボリューム感のあるダウン特有の膨らみを表現しています。
膨らみが過度になると全体のシルエットが崩れてしまうため、シミュレーションを繰り返しながらバランスを確認し、最適なボリューム感となるよう微調整を行いました。
その他、Marvelous Designerに関するコツやテクニック、あるいはコミュニティへのアドバイスがあればぜひ共有してください。
服飾の専門知識がなければ制作が難しいと思われがちですが、Marvelous Designer には直感的にパターンを作成できる機能が備わっており、必ずしも高度な服飾知識がなくても制作を始めることが可能です。
まずは身近なモチーフを題材に制作し、操作に慣れていくことで、さまざまなクロスシミュレーション表現を楽しめるようになると思います。
服飾という枠にとらわれず、あらゆる「布製のイメージ」を形にできる点も、本ツールの大きな魅力のひとつです。
自由な発想を大切にしながら、楽しんで制作に取り組んでいただければ幸いです。
이 작업은 Cinema4D, Material, 3DPen, DownJacket, Daruma, Pattern 등의 기술로 제작되었습니다.
Marvelous Designer로 이와 같은 3D 의상·캐릭터 작업을 직접 만들어볼 수 있습니다.